金持ち大国や多国籍企業の都合で貸し付けられた途上国債務の帳消しを!
債務、世銀・IMF、ODA、南北問題など、翻訳モノを中心にテキトーにupします。
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某NGOのニュースレターに原稿を寄稿したんですが、字数制限で約半分になってしまったので、元原稿を載せます。
ああ~、翻訳も恥ずかしいが自分の文章はもっと恥ずかしい ---------- ベラ・センターは町外れの湿地に一見、倉庫か町工場のような風情で建っていた。 そばには風力発電の風車が一基。100名以上の政府首脳を含む194カ国の代表が議論を戦わせたCOP15(注1)の会場だ。
「ブレトンウッズ会議以降、戦後最も重要な会議」とまで言われた挙句に、具体的政策も数値もほとんどなく、法的拘束力もない文書
(注2:文面は「コペンハーゲン協定」を「留意する」、つまり政治的国際合意ですらない) しか残せなかった。 この結果について、 欧は米・中(特に中国)を非難し(注3)、 反米・左派途上国政権は先進国を非難し 、 一方「民主的議事運営や実効力ある法的合意にこだわった反米・左派途上国政権のせいだ」の声もあり、 非難の指差し合戦だ(注4)。 しかし大した成果が出ないことはハナからわかっていた。 中国や米国がぎりぎりになって出してきたCO2排出削減目標(注5)はとてもお話にならない数値だ。 先進国側は10月のEUサミットや11月のAPECの時点から、議長国のデンマークも含めて「COP15での法的合意は無理」と予防線を張っていた(注6)。 多少は意欲的なポーズを見せていた日本やEU(注7)も結局は「他の国がしないなら自分もやらない」。 まだ議論が始まったばかりの会議二日目、 議長国デンマークがすでに「合意草案」を準備していたことがバレたが(注8)、 その内容は“京都議定書はおしまい、合意の法的拘束力なし、途上国への適応資金援助は年100億ドル、2050年には一人当たり排出権が先進国は途上国の2倍になる、資金管理が国連を離れて大幅に世銀に移る”というものだった (ソースが見つからないが、どこかのアフリカ代表は「100億ドルの資金援助は気候変動災害で死ぬアフリカ人の棺おけ代にも足りない」と言っていた。NGOの試算では途上国が緩和・適応に必要な資金は年間2千億ドル-4千億ドル)。 この草案は英国・米国など少数の国にのみ回覧されていた。 私の見方は田中宇氏と同じ「出来レース」論(注9)。中国・インドを含む産業大国は軒並み、法的合意などできなくて胸をなでおろしたことだろう。 一方、気候変動で大きな影響を受けるアフリカや小島嶼国の代表は必死だった。 「私にはふたりの娘がいます。私は孫を見たい。見られなくなるかも知れないのですよ。これは、お金の問題ではない。お金の問題だと思うのは思い上がりもはなはだしい。」(注10)というモルディブ代表の言葉にホロッときた。 どこの政府であれ政府代表からこういう言葉を聞くとは思わなかった。 アフリカ諸国や小島嶼国は気温上昇を最大でも1.5℃に抑えるよう最後まで主張していたが(注11) その声は合意案にはまったく反映されなかった。 全大会でどこが何を主張しようと、結局は先進国と産業新興国を中心とする20数カ国の「議長の友達会合」が出すドラフトが決定的役割を果たす。 「問題は我々と我々の国が生存するための基本的な権利です。小さな国々は多くの人々にとっては議論を進める上で邪魔なのかも知れない。しかし私にとっては先祖から受け取った遺産です(マーシャル諸島)」 「小さな国々は理想的な位置をとり続ける贅沢は実際に許されません。 わが国はメジャーな経済のプレイヤーではあり得ません(バルバドス)」 という小国の諦めはあまりにも悲しい。一体、誰のための何のための会議なのか。 市民側のカウンターイベントとして開催されたクリマフォーラム09での「気候債務(注12)」フォーラムの席で、ボリビア政府代表アンヘリカ・ナバロは「COP交渉は環境の交渉ではなくてまるで経済・金融交渉のようだ」と述べた。 気候債務とは、 “先進国が途上国の緩和・適応のために資金を出すのは"援助“”慈善“ではない、これまでの資源の大量搾取や過剰消費で気候変動を作り出し、歴史的に南を貧困に追い込むことで被害を拡大した先進国の責任を「北が南に負う債務」と捉え、その賠償として当然行うべき義務だ” という主張である。 数ヶ月前、この「気候債務」の主張は強力な助っ人を得て一躍注目を浴びるようになった。気鋭のジャーナリスト、ナオミ・クラインだ(注13)。 おかげで「気候債務」フォーラムは大会議室が満員御礼。 クラインは 「COP15は“環境保護主義”の真の姿-豊かなものが貧しいものに仕掛ける階級戦争-を初めてメディアの前に見せ始めている。だから私は交渉をつぶそうとは思わない。しかしそれは直接行動が不要だという意味ではない」 と12月16日の「力を取り戻そう!(Reclaim Power!)」デモ参加への檄を飛ばした。 私は以前から気候変動問題を追っていたわけではないので正直、コペンハーゲンに行くのは気が引けた。 しかし行ってみて強く感じたのは「気候変動問題」と言っても結局は「人間と自然の権利」に帰結するということだ。 環境問題を気候変動に特化し、その標的をCO2に特化し、重点を資金作りやCO2削減対策の経済効果に当てる中で大事なことが忘れられていく。 世界の炭素取引市場は08年度で1300億ドル。 「不都合な真実」でCO2地球温暖原因説を牽引したアル・ゴアは炭素市場に投資するGeneration Investment Management 社を設立して大儲けした。 キャップ・アンド・トレード(注14)が導入されれば米国だけで2兆ドルの市場になると金融会社は手ぐすね引いて待っている。金融危機の反省もなく新たな投機先という期待さえ高まっている。 CO2を出さないという触れ込みで放射能をばら撒く原発が息を吹き返す(こういうのを見るとクライメートゲイト(注15)を信じる気になってくる)。 一方で、気候変動対策の鍵となる森林を守ってきた先住民や森林コミュニティが温暖化対策の交渉主体になることはない。 住んでいた森が突然、温暖化対策の保護区に指定され、住民は追い出されたり木の伐採で罰せられたりしている。 カナダやアメリカは「温暖化対策」を言う陰で、最もダーティーなオイルといわれるタールサンド(注13)開発を進めている。 先住民代表の話ではアメリカの石油の約15%、ウランは実に86%が先住民居留区にあるそうだ。 ペルーでは6月、映画「アバター」さながら軍に守られた石油会社がアマゾン森林に入り込み、抗議行動で多数の先住民が殺された。 「森林保護といいながら森を守る人々を殺してどうする!」とカナダの先住民代表は怒りで言葉を詰まらせていた。この森林に眠る石油開発は米国・カナダとチリとの自由貿易協定の結果、行われているものだ。 FOEインターナショナル、世界の小農民ネットワーク・ビア・カンペシーナ、OWINFSO(私たちの地球は売り物じゃない!)などは、12月始めのジュネーブでのWTO交渉への抗議行動とコペンハーゲンのCOP15アクションをつなぐキャラバン隊を組織したが、これは自由貿易と気候変動の根っこは同じ、社会正義の問題であることを正しくも指摘している。 気候変動問題は今の社会のあり方そのものの問題だ。 その解決は鳴り物入りのサミットの決議文にではなくて、すべての人々の日々のナリワイとタタカイの中にあるのだ(それが直接、環境関係でなくても)。 地球が温暖化してるのか寒冷化してるのか正直言ってわからない。 しかしひとつだけ確かなことがある。それはデモで見たプラカードの文章:「プラネットB(代わりの地球)はない」ということだ。 ―――――――――――――――― 注1)COP15(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議): 09年12月7日から18日(19日に延長)にかけてデンマーク・コペンハーゲンで開催。ポスト京都議定書(2013年以降)の枠組に関して話し合う。主な議題は温室ガス(特にCO2)排出削減目標(緩和)と途上国が気候変動に適応するための資金・技術移転。 注2)http://unfccc.int/files/meetings/cop_15/application/pdf/cop15_cph_auv.pdf 注3)中国を非難するMark Lynas(英ガーディアン)の記事 http://www.guardian.co.uk/environment/2009/dec/22/copenhagen-climate-change-mark-lynas 注4)いくつかの新聞で「全会一致方式だから決まらないのだ。今度からG20方式でいくしかないのではないか」という論調の記事を見た。決まればいいというものではない。 注5)米国:2020年までに05年比17%削減(90年比4%減)、中国:05年比でGDPあたりの40~45%減(結果的に排出量は増える見込み) 注6)「法的合意は無理」を伝える新聞記事 注7)日本:2020年までに90年比25%排出削減、12年までに150億ドル支援、EU:2020年までに90年比30%削減、12年までに100億ドル支援 注8) デンマーク案すっぱ抜き英ガーディアン記事 http://www.guardian.co.uk/environment/2009/dec/08/copenhagen-climate-summit-disarray-danish-text 注9)http://tanakanews.com/091227warming.htm 注10)慶應義塾大学斉藤賢爾氏による聞き取り翻訳(多謝!) 長いがぜひ読んでほしい! http://www2.media-art-online.org/~ks91/cop15/ 注11)アフリカからの参加者の代表のベラセンターでのアクション http://www.democracynow.org/2009/12 ツバルの提案と支持するNGOのアクション http://www.democracynow.org/2009/12/10/citing_its_survival_pacific_island_of 注12) http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/35/ 注13) http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/37/ http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/ffeaa733d052036a7b5f42bab7850003 注14)キャップ・アンド・トレード http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=614 問題点(さすがガーディアンだけど、広告はシェル) http://www.guardian.co.uk/environment/interactive/2009/dec/03/story-cap-and-trade-annie-leonard 注15) COP15直前、温暖化人為説を裏付けるデータは捏造であると匂わせる科学者間のメールが大量に流出した。温暖化説が捏造か、石油会社による陰謀か、さまざまな憶測を呼んでいる。 Climatic Research Unitメールハッキング事件 PR |
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