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金持ち大国や多国籍企業の都合で貸し付けられた途上国債務の帳消しを! 債務、世銀・IMF、ODA、南北問題など、翻訳モノを中心にテキトーにupします。

2024-04

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(今後、情報が入り次第追加していきます)

フィリピンの下院が「疑わしい融資に対する利子返済拒否」の特別条項付き2008年度予算案を通過させるという快挙を成し遂げました!

そこで現在のフィリピンの債務状況について概観したいと思います。

「フィリピンの債務」というと、マルコス独裁体制下の債務がすぐ思い浮かびます。

・1965年、マルコスの大統領就任前は10億ドルもなかった国家債務が、彼がピーピルズ・パワーで政権の座を追われた1986年には約280億ドルに達していました。

・そこには日本からの5000億円の円借款も含まれています。

・その中には、汚職にまみれ、かつ、国民のニーズと何の関係もなかったプロジェクトが多数ありました。

・一番典型的な例として取り上げられるのが、バターン原子力発電所建設です。
地震層の上に建てられ操業するのがあまりに危険ということで、汚職まみれの契約で建てられたこの原子力発電所は結局1ワットも発電することなく、次のコリー・アキノ大統領になってお蔵入りが発表されました。

しかしフィリピン政府は、23億ドルに上る建設費用やそのために受けた融資の利子を、米国の原発企業ウェスティングハウス社と米国輸出入銀行(EXIM)を始めとする銀行団に返し続けました。

・マルコスはこの契約で8000万ドルのキックバックを、マルコスの取り巻きでウェスティングハウス社落札を支援したデシニは1730万ドルを、受け取ったとみられています。

・マルコスは、このようなプロジェクトの契約の度に15〜20%のキックバックを受け取り、在任中に100億ドル(約1.2兆円!!!!)を不正蓄財したと言われています。

しかし、話はそこで終わりではありません。

一つは、予算返済に優先的に予算を回すというマルコスが発した大統領令をアキノ大統領はそのまま踏襲したので、マルコス時代の債務がなんの検証もされずに返済され続けています。

もう一つは、その後もものすごい額の債務が蓄積され続けているということです。

フィリピンの対外債務(2006・百万ドル)
総額(Total) 53,367
 多国間債務 7,123
 (うちADB)
(3,930)
 二国間債務 13,400

この表は対外債務だけであることに注意して下さい。現在、途上国債務の構成が大きく変化し、国内債務の割合が増加しています。フィリピンの場合、この対外債務額に匹敵するかそれ以上の国内債務があります。

また、伝統的な多国間金融機関や二国間の債務以外の、有価証券(国債、財務省証券など)による債務の割合が増しています。



上の棒グラフの青い部分が中央政府の債務、赤い部分が中央政府が保証を与えている債務(例えば国営企業の債務など)です。
そしてちょっと見にくいですが、黄色い折れ線グラフが債務返済、それとほぼ同じ額を毎年借り入れています。

1ドル約46.35ペソとして約940億ドル(国内債務を含む。内、約48%が対外債務、約52%が国内債務)」

しかも、現アロヨ体制は、ある活動家の言葉を借りると「借金中毒。返済のためにさらにさらに借り入れている」ようです。



上の棒グラフは、マルコス以降の各政権がいくら借り入れ、いくら返済したかを表しています。青い棒が任期中に借り入れた額、赤い棒が返済した額です。
アロヨは、この6年間でアキノ、ラモス、エストラーダの借入額、返済額の合計を超える額を借り、かつ、返済しています。

当然、返済額も急増します。



上のグラフで、青い折れ線は、利子と元本を合わせた返済額、赤が教育、緑が保健医療、黄色が社会治安のための支出額です
元利合計の返済額は鰻登りなのに対し、社会セクターの予算はアロヨ大統領就任以降、ほとんど横ばいか微増状態です。

債務返済は、毎年予算の30%以上を占めますが、それは利子だけです。元本返済は別枠で行われるため、議員による審査を受けません。2005年には、なんと政府歳入の85%を債務(元本と利子)返済に充てました。

ここで挙げているグラフは、10月にベルギーで行われた債務に関する国際セミナーでフィリピンの債務キャンペーン、FDC(債務からの自由連合)のベッキー・マレーさんの発表資料から引用させて貰っています。

彼女のプレゼンで一番ショックだった言葉は、「これまでバターン原子力発電所の不当な債務返済を阻止しようとずっと闘ってきたが、もう遅い。今年で返済(途中いくらかは有価証券に転換されたが、それ以外の部分)は終わってしまう」でした。「あとから、賠償請求できないの?」と聞いたんですが「無理だろう」ということでした。

現に、米国の裁判所から、「この債務は支払わなくていい」という仲裁命令が出されたのですが、フィリピン政府は自らこの債務を払い続けたのです。

早くしないと、過去の不当な債務は次々返済済みになってしまう!

いま、フィリピンでは政権のやり方に対して異議を唱えて活動する人達に対する暗殺が横行しています。その中で、FDCを始めとするキャンペーナーは果敢に闘い、下院での不当な債務の返済拒否特別条項を勝ち取りました。
懸念されるのは、この法案を通さないように、債権国・機関から、上院、政府への圧力が行使されることです。
それを止めることができるのは、貸し手の側の国にいる私達市民ではないでしょうか。
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