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金持ち大国や多国籍企業の都合で貸し付けられた途上国債務の帳消しを! 債務、世銀・IMF、ODA、南北問題など、翻訳モノを中心にテキトーにupします。

2024-04

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「今回の金融危機のしわ寄せを、その原因と一番関係のない人たちが一番被っている」

という発言はよく聞きますが、直接に「貧しい国のしわ寄せを被る」人たち、特にアフリカの人たちの声を聞く機会はなかなかありません

(先進国の貧困削減NGOの主張は、それほどたくさんでなくても時にはメディアに載るんですけどね。でも、結局、「貧しい国の貧しい人々を忘れないで→もっと先進国のイニシアティブを、もっと援助を」というトーンでまとめられてしまうことが多いようです。)。

ロンドン在住ナイジェリア人の女性アクティビスト兼ブロガー、
ソカリ・エキネ(Sokari Ekine)がG20についてまとまった文章を書いていたので翻訳してみました(文責はひとえに訳者にあります)。

ソカリ・エキネと彼女のブログ「ブラックルックス」について
http://www.blacklooks.org/about


彼女はLGBTIQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・半陰陽・同性愛者)の権利のアクティビストで、彼女のブログは昨年の「国際ベスト・フェミニスト・ブログ」賞を受賞しています。

ネットニュースレター“Global Voice”のサブサハラ地域編集担当で、“ニュー・インターナショナリスト”誌のブログにも寄稿しています。

石油メジャー・シェルの開発によるナイジェリア、オゴニ族の環境・生活破壊にもコミットしているということで、個人的にも親近感を感じています

(アイルランド西海岸でも、シェルの海底ガス開発のやり方をめぐって反対運動が起きています)。

http://www.shelltosea.com/

ソカリはONEプロジェクト

(GCAP(Global Call to Action Against Poverty)、日本ではホワイトバンド運動の名前の方が知られていましたが) の一環でU2のボノが米国で始めた運動)

が企画した50名のブロガーをG20に参加させる、という企画に招かれていましたが、

「先進国がこれだけアフリカに依存していながらアフリカの代表がほとんどいないなんて皮肉だ(石油、銅、金、銀、あるいは商品作物が西側諸国を養っているのに)。

援助はビジネスじゃないっていうなら、援助なんかやめてアフリカの資源にフェアな価格を払ってくれ」とコメントしています。

原文(誤訳などご指摘ください)

Thoughts on the G20 naked emperors & the age of possibility*

ソカリ・エキネ
「G20に際して思うこと、改め、裸の王様と可能性の時代」(09年3月30日)

G20サミットで提起されている問題をどのように見るか?
私にとって、西側世界/G8/G20がアフリカに歴史的にどのように対峙してきたか、そして、ラジカルな変革の時期に突入するに際し、アフリカが西側諸国ならびに中国・インド・ブラジルといった新興諸国とどんな関係を結ぶべきかを含め、どのようなチャンスをそこでつかめるか、という視点から見るのが一番だと思い至るようになった。

まずとても重要なふたつのことが前提としてあげられる。

一、ウォールデン・ベローが主張するように、世界全体の政治に関わることをG20/G8だけで決めてしまうことの正当性に対する重大な疑義。国連こそがその場であるべきだ。

二、西側世界は、これまで自分たちの政策の中でアフリカならびにアフリカ人の利益を本当に考えたことはなかった。これは過去500年の歴史を見れば明らかだ。

しかしいまや、デンバ・ムッサ・デンベルの言葉を借りれば彼らは「王様は裸だ」。彼らは裸で弱々しくうち震えている。そしてアフリカにとってはいまがチャンスだ。もはや次の機会はないかもしれない。もし私たちが世界の金融市場の崩壊、あるいは「レッセ・フェールと市場原理主義の崩壊」から学ばなければ、私たちは自らを永久に奴隷の身分に貶めておくことにもなりかねない。

私は聖職者でもなく経済の専門家でもなく世界金融市場がどのように動いているか熟知しているわけでもない。私の理解はまったく一般市民と同じレベルだが、昨年来の一連のできごとが私や私の住むコミュニティにどのような影響を与えたか、そして、アフリカ全体と西側諸国では相変わらずの不平等で不正義な関係が続いているということ、そして今このときがアフリカにとってチャンスのときなのだ、ということはわかっている。

いくつか事実を挙げよう:
一、二週間の間に、4兆ドルを超える資金が西側の金融危機解決のために準備された。
銀行国有化、企業や金融機関救済のための金だ。これは米国とEUが2007年にアフリカに送った援助総額の45倍の額だ。

西側世界とIFI(国際金融機関、INFや世界銀行などのこと)はアフリカの不公正な債務の帳消しを拒否し続けている。その額は約3000億ドルと見られる。

アフリカは海外の企業や多国籍企業の租税回避や免税措置の直接の影響として毎年1600億ドルを損している。

2007年の出稼ぎ・移住労働者のアフリカへの送金は278億ドルだった(各国のGDPの2%から30%にあたる)。西側諸国の金融危機の結果、すでに故国に送られる額は大幅に減少し始めている。

西側諸国政府とその金融機関が作り出した危機の結果、アフリカでは70万人の子どもたちが2009年中に亡くなるだろうといわれている。

アフリカでは鉱山、観光、工業分野ですでに何千もの失業が出ている。これからさらに増えるだろう。

1970年から2004年までの間、40のサブサハラ諸国から流れ出た逃避資本(多額の資金を盗んで西側に移転させたのはナイジェリアの独裁者アバチャのような国のリーダーたちだが、他の者たちが無罪というわけではない)は4200億ドル(2004年価値で!)に上る。同期間、アフリカ諸国の対外債務は2270億ドル増えた。

2007年にEUは「もう取引してやらないぞ」と甘言とムチで、18に上る新(暫定)EPA(経済パートナーシップ合意) をアフリカ諸国に署名させた。EPAは商品の「自由貿易」のためのものとされているが、パトリック・ボンド(後継のサイト参照)の言うように他の条件もくっついている。
たとえば、投資の保護(企業の利益が今後各国の政策によって損なわれることはない)、競争原理(地元の大企業は解体される)、政府調達(南アフリカのアファーマティブ政策などはやめさせられる)。

気候変動-アフリカへの影響はその全体像がいまだ明らかにされてはいないが、アフリカは従来の不平等貿易に加えて、その西側市場からの距離のため炭素税の影響を大きく受けることになるだろうとボンドは考えている。
農産物の収量も減少するだろう。さらに、商品作物栽培やバイオテクノロジー多国籍企業の介入がますますひどくなり、ただでさえ影響を受けている地方の農民や漁民の困窮が広まるだろう。

では、どのような選択がアフリカ諸国には可能なのだろうか?西側諸国に対して、いったい何を要求すべきだろうか?

まずは不公正な債務の帳消しだ。西側諸国の貪欲と混乱のせいでアフリカ諸国の更なる苦しみが始まっており、一方でG8諸国が何兆ドルも自国の銀行救済に投じるという最近の一連の出来事は、不公正な債務帳消しの正当性と必要性を裏付けている。

EPAの即時廃棄も必要だ。アフリカ人の再奴隷化を言葉だけ変えたものがEPAだ。

過去500年の(そして今も続く!)奴隷化、植民地化によってアフリカから大量に収奪されたものの返還。南アフリカにはアパルトヘイト体制を通じて儲けたカネを返還すべきだ。

いま、そして今後、地域のコミュニティの搾取やいじめに関して、多国籍企業を相手取って起こされる裁判など法的手段への支援。たとえばナイジェリアのシェルやシェブロン、あふいは大湖地方で操業する鉱山多国籍企業に対するものなど。

環境を破壊し人々を殺す多国籍企業を守るために、自らの国民に銃口を向けるようなアフリカ政府への武器の売却をやめること。

アフリカ人難民をグアンタナモ式の収容所に監禁し、その後、彼ら・彼女らがレイプされ、数々の肉体的・精神的暴力にさらされてきた紛争地域に強制送還するのをやめること。

アフリカ諸国のリーダーたちには何を要求すべきだろうか?

なにより、世界経済とさらに一体化することによってしか生き延びられないような未来とはおさらばすること。IMF/世銀が押し付ける政策をやめること。ラテンアメリカ、すなわち、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルでは少しずつこれらの動きが起こっている。

汚職の追放。アフリカに妥協を強いるIFIの政策のために、アフリカのリーダーが西側諸国エリートやIFIと協調するのをやめてほしい。自分たちの私服を肥やすために自国の国民や資源を売り飛ばすな。いじめに立ち向かう気骨もないんだから。水や衛生といったサービスの民営化をやめること。

資本逃避をやめさせる。西側諸国は自国の銀行に逃避資本が預けられるのを防ぐような法的措置をとるべきだ。海外企業への課税を強化し、税金逃れやめさせる。税制を厳密にし、現地法人が税金逃れをしたり、国内ではなく海外の銀行に多額の預金をすることを防ぐべきだ。

全大陸において女性、子ども、LGBTIの人々、土地なしのもの、貧しいもの、土地を追い出されたもの、市民権のないものへの人権侵害をやめること。これらの人々は日々、国家から激しい攻撃を受けている。

アフリカ人の食料生産を犠牲にして西側諸国のために商品作物を生産するのをやめること。アフリカにヨーロッパの消費を賄いつづけろなんて無理な話だ。

デンバ・ムッサ・デンベレはさらに先鋭的で、アフリカは自らの新しい開発政策を設定し主導すべきだと主張している。それには「強くて効果的な国家」創造(弱い国家は、環境法違反や税金逃れや汚職を取り締まれない)
や、シェル、シェブロンといった鉱山・採掘産業の多国籍企業を対象とした民営化の取り消しや企業の国有化も含まれている。

民営化とは、大量の失業と社会的排除を意味する。貧困の激化と、資源・資本の海外からのコントロールの増大には何らかの相関関係がある、ということもできる。なぜならこのコントロールは巨額の利益の本国送還や税金逃れと関係しているからだ。ある意味、民営化とは国家財産の強奪と理解してもいい。戦略的セクターも含め、何年もかけて国民の犠牲の下に打ち立てられた国家の資産を外国勢力に明け渡すのだから。

それゆえ、民営化の撤回は国の資源に対する国民の主権を守るためには必要不可欠なのだ。今こそアフリカ諸国は、重要なセクターや国の資源の管理権を、公共の手の元に戻すべきだ。真の内発的発展は国の富をきちんと管理することなしには不可能だ。アフリカは米国を含む資本主義先進国に学ぶべきだ。彼らは銀行や金融機関を国有化している。
しかしより重要なことは、アフリカが南アメリカやアジアといった他の南の国々に学ぶことだ。彼らはかつて多国籍企業に売り飛ばしたものを取り戻しつつある。

ほかにもまだ提案がある。
労働者の本国送金をもっと正式なものとして扱い、全体の開発政策の一部として統合すること、資金調達や投資や貿易において、双方の当事者をより対等にするために、「南-南」同盟を打ち立てること。

一番肝心な点は、アフリカをはじめとするグローバル・サウスは今回のサミットで結局何も得られないだろうということだ。議事日程は保護主義の増大とそのための政策-前述のようなEPAのような-で占められている。

だから、アフリカや他の南の国々がそこから利益を受けることはない。南の国々は(ラテンアメリカも含め)バンドンIIを組織し、途上国同士の合意によっていかに危機から脱却するためにお互い助け合うかを話し合うべき時なのではないか?G20には二本指を上げて(”Go to hell”という意味)やればいい。

もしわれわれのリーダーがアフリカやアフリカ人の利益のために動き出す気がないというのなら、そのときはその役目は私たちのものだ-活動家、労働組合、アカデミズム、社会運動が変革を組織し、推し進めるのだ。そして現状維持を望むリーダーたちには二本指を上げてやればいい!

資料:The global financial crisis: Lessons and responses from Africa by Demba Moussa Dembele
African Resistance to global finance, free trade and coproate
profit-taking by Patrick Bond (今年後半出版予定の未発表稿)
Pambazuka News と ZNetのさまざまな記事

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